大黒様か

           
「兄ちゃん　学生さんかな　
　　大きな袋　担いでるから　大黒様かと思ったぜ　
　　　大きな袋から　何かくれそうに見えるのは　空腹のせいだろうな　」

表通りは

           
案の定　表通りには　排気ガスはあっても　美味しいものなどあるはずも無く
　戸惑うネコたちは　進む方向すら定められないのでした

表通りへ

  
「行こう行こう　　　けちなカリカリのかけらなんか　拾ってないで　
　　表通りへ出て　なにか　旨いもの探そう　」

気を遣えよ

  
「両側に腹の減ったのが居て　鳴ってるのが　聞こえてるはずなのに　
　　少しは気を遣えよ　　と言っても　遣わない奴が生き残るのが現実だけどな　」

順番待ち

  
「あれだけ食べたら　もう充分だろう　
　　カリカリ食べる順番を　早く譲ってくれないかな　　　腹が鳴るよ　」
『あいつのまだ後　となると　　おれの番がきた頃には　もう無いかも知れない　
　　腹が減って　昼寝も出来ないよ　』

昔劇場だった

  
「カメラのおっちゃん　知ってるかい　
　年寄りの話じゃ　　この広場は　昔　劇場だったんだって　」
『ああ　やっと　おなか膨れた　』
［早く食わないと　なくなるぞ　］

毒味検査

  
「不審物は　一応　検査することになっておりまして　
　　子どもたちの安全を　守らねばなりませんので　
　　　内容によっては　毒味検査　を実施する場合もございます　」

路上の白線

  
「秋だ秋だ　　後に来る季節のことなんか気にせず　　まずは夏の疲れを　ゴロニャンで　落そう　」


  
「この白線が　綱引きの綱だったら　枕になるのにな　
　　白線がレールだったら　て話は　しないことにするね　」

一家の中心

  
「門を入ると　中央にあるのが　この　先祖伝来のソテツ　
　　そして　このソテツは　歴代ネコ達の爪とぎ場　　一家の中心だ　」

新鮮なイワシ

  
「釣りのおじさん　ありがとう　
　このイワシはうまいね　　何と言っても　新鮮さが一番だね　」

商店街の裏

  
「ここは　シャッター街の裏だ　
　　暑くても　寒くても　　室外機が回るのを見たことがない　　悲しい町だよ　」

美味しい物だぞ

  
「あれは美味しい物だぞ　　きっとそうだ
　　どんどん近付いても　夢が破れませんように　　　
　　　胃袋に入るまで　この喜びが続きますように　」

まあまあのこと

  
「好いことって　無いもんやな　」
『そりゃあ　そういうものよ　』
「好いことまで行かなくても　まあまあのことくらい　あっても良いのにな　」
『ほんとにねえ　』

一点

  
「この顔なもので　イッテン　て呼ばれてます　　よい名前なのか　悪い名前なのか　よく分かりませんが　　まあ　相応て言ったところなのかな？　なんて思ってます　」

玄関マット

  
ネコさん　お休み場所は　夏でも　マットの上ですか
「靴を履いてるから　分からないのでしょうね　
　　アスファルトもコンクリートも　足の熱さは凄いのですよ　
　　　夏も冬も　　この玄関マットは　有難いものです　　」

獅子岩

  
「紀伊半島のネコは　獅子岩を意識して　こんなあくびをするんだ　」