ネコ嫌いの家

  
「ここの家の人はネコ嫌いやで　」
『うん　まあ　ちょっと警戒しながら　のんびりしょう　　陽だまりになってるし　』

震災の頃

  
「これだけ残材の山が続くと　震災の頃を思い出すね　」
うそ言え　　震災なんか知らんやろ
「それは　言わないこと
　そりゃあ　本当は　震災を知らない子供たちさ　」

イノシシ帰らず

  
「猟犬に終われて　北の海へ飛び込んで行った　イノシシたちは　　帰って来ませんね　
ネコにとってはいない方がいい　イノシシですが　　いた者がいなくなると　　どんなものかと考えてしまいます　」

ネコのアンテナ

  
しまい忘れたネコのアンテナは　いろんな情報をキャッチします　　お天気　運勢　ヒトの気配
しまい忘れたネコのアンテナは　いろんな思いを発信します　　後悔　空腹　明日の仕事

向こう横丁の

  
「おばあちゃん　おばあちゃ～ん　　　変なオッチャンが居るよ　気持ち悪いよ～う　」
大丈夫やから　そこで寝てなさい　　そこは温かいでしょ　　景色も見えるし
「怖いよ　　ガラスの目玉でにらむんだから　気持ち悪いよ　」　
ネコさんは結局　ばあちゃんのところへ　逃げていきました　　申し訳ないことをしました

金比羅様御朋友

  
そんなとこに乗ったら　罰が当たるぞ
「大丈夫　大丈夫　　金比羅様はお友達だから　　旧交を温めてるだけ　」

お互い春まで

  
野良猫は大変だね　おなかがすいても　春まで頑張りなさいよ
「じいちゃんも　寒くても　向こうへ逝ってしまわないで　またこっちにもどって来てね　」

二年ぶり

  
お元気そうで　またお会いできて　嬉しいです
　・・・・・・　？　・・・・・・
もう二年近くなりますが　寒い朝に　門柱の上にしゃがんでおられたのを　写させてもらいました　　　覚えてませんよね
「　は　はい　」
また寒くなります　　気をつけて　お元気で
「　はい　どうも　」

すし屋のネコ

  
逃げんでもええやろ　写真くらい写させてくれて　ええやないか
「すしも食わずに写真だけ　なんて奴に　写されてやらないよーだ　
　　　寿司の味が分かるようになったら　出直しといで　」
言うなあ　　一枚写したから　ま　ええか

音のしない車

  
ねえさん　やっと雨が上がりましたね
「そうねえ　やっとね　　今度はほんとに上がるような気がする　　気がするだけだけど　」
車の下は危ないんじゃないですか　特にこれからは
「ほんとにそうなんよ　ヒトの乗り降りをしっかり見てないと　　音のしない車なんて　どこが面白いのかねえ　」

キスマーク

  
「たいていの奴が　“もう少し縦に長ければ　ハートマークになったのに”って言うんだ　　インスタ映えしなくて　悪かったが　　これはハートマークじゃなくて　キスマークだ　　それも　モンローのじゃなくて　神様のだぞ　　つまらない事言ってると　罰が当たるぞ　」

挑戦状

  
「庭じゃなくて　ぼくが棲んでる溝に　防ネコマットなんて　　これ　挑戦状だよね　　だから毎日　植木鉢に　お土産を置いて来るんだ　　　子供だからって　おとなしくしてちゃ　生きていけないよ　」

毛色が薄いか

        
ネコさんは　毛色を薄くする遺伝子を　お持ちなのですか
「そんなこと　私が知るわけないでしょ　　分かったら　一応　教えてよ　」

氷を割って

  
「氷を割って水を呑む　　この　身も凍るような冷たさが　冬山の味と言うものよ
　とは言うものの　　温かいミルクの方が　絶対いいな　」

ねだる相手

  
「カメラか何か知らんが　背中でガサガサせんといて　　気が散るがな　　おねだりできる相手を探す　大事な仕事の　最中やから　」

台風接近

  
「雨が止んで　窮屈な秘密基地から出てくると　開放感あるけど　　どこもかも濡れてるんじゃ　身の置き場に困るぜ　」
　開放感に酔ってないで　しっかり食うもの食わないと　次の雨が来てるぞ
「おいおい　　ヒトの善いネコちゃんを　からかうんじゃないだろうな　」
　ヒトの善いネコちゃんなんて知らないが　台風が近づいてるのは本当だ
「ヒトの悪そうなオッサンだが　　この際　信じるべきなんだろうな　」