誰にもやらへん

  
「こっちへ　来たらあかん　　もらったばっかりのカリカリ　誰にもやらへんよ　」



  
「とにかく　早いこと　お腹へ入れてしまお　」

みんなどこや

  
「青い海と　美しい山に　囲まれた小さな村　　走り回るガキドモや　昼間っからたむろして飲む若い衆　畑の世話するおばちゃん　ゴミ箱あさる野良猫　　みんなどこへ　行ってしもうたんや　　こんなええ天気やのに　」

漁港の一家

              
「育ち盛りの　悪がきがどもが　おりまして　」



              
「嫁も居りまして　　凪の日には海をながめ　風が吹けば堤防の裏に回り　雨の日にはシートの下にもぐる　　これが　おれたち一家の　基本パターンです　」



              
「でかい　野良息子も　おります　」

こんなポーズ

  
「風が当たらず　日が当たる　　草布団でごろ寝や　　オッサンは　こんなポーズ好きやろ　」

更地が増えて

  
「更地が増えて　草が生えて　ネコがのんびりする場所は増えたけど　これってほんとにええことなんやろか　」
『考えたらあかん　考えてもしょうがないことは　考えたらあかん　　せめて今を楽しく生きよ　それがネコの生き方や　』

ええやないか

  
ばあちゃんの椅子に　ばあちゃんには見えない　黒い物体が乗ってるよ
「あの・・　　ダンボールまで敷いてくれてるんやから　誰が乗ってもええんとちゃう？　　関西では　あんまり堅いこと言うたらあかんのやで　」

盗撮

  
「その角度から写したら　盗撮やよ　」

外国人観光客

  
「何もくれない外国人観光客か　　群れると景色も見ないで　どうしてああはしゃぐのかね　　　日本人も　外国では　そう言われてんだろけどね　」

ごはんだけでは

  
「ごはんだけくれた人居るねん　おっちゃん　おかずくれない　」

悟りを開く

  
「寺の本堂の横に　こんな厚い板一枚の縁側がある　　人が腰掛けるに少し高めのような気がするが　幅はネコの幅そのものだ　　少し高い分　イヌなどに見つかりにくいし　夏は涼しい　」



  
「修行をして　悟りを開くというのは　こういうことが見えることなんだろうね　」

“元”ボス

  
「元ボスの　“元”ってえのが最悪だね　　プライドがあって　責任感みたいな自己満足があって　もはや力量が伴わない　　このざまだ　　息子のような生き方がしたいよ　」

ボスの息子

  
「ボスの息子って言われるけど　ボスの器じゃないことは　顔見りゃ分かるだろ　　怖い嫁さんの尻に敷かれて　静かな人生送りたいよ　」

雑巾ネコ

               
「左右の目の色が少しちがうんだけど　高く売れない？　　栄養不良の虎ねこじゃ　雑巾にもならないか？　」

猫に優しい

  
「この古木　何か分かる　　サクラやで　　サクラも古くなると　皮がこんなになるんや　」



  
「サクラの根方で　落ち葉の布団に乗ると　快適　　　風も当たらないし　後も垣根でガードされてる　　　猫にやさしい庭造りや　　昔の人はえらかったんやね　」

室外機の傍でも

  
「真冬・真夏の室外機のそばは　いいものじゃないが　　風が当たらず日が当たる　それに何よりも人目につかない　ほんの一郭　てのはなかなか捨て難いもんだ　」

もう春かい

  
「もう正月だってえのに　暖かいねえ　ネコには有難いことだが　　　そのうち　冬が来るのかい　　もう春かい　」