構内を小走り

  
小走りで　ネコさん急いでどこへ行く
「構内と言えども　ネコにとっては道路は暴露地帯だ　　人に見られて良いことなんてないから　安全な場所まで　少しでも早くたどり着こうとすると　身を低めて　小走りになるんだ　」

海側斜面の季節

  
「海側斜面が心地よい季節がやってきた　　　川崎見ながら海風受けて　寝るぞ　」

浜猫でよかった

  
「明るい太陽　さわやかな海風　　浜猫でよかったって　思える季節だ　」

夜は下界で

  
ネコさん　どこへ行くのかな



  
「よお　お久しぶり
　どこへ行くって　素人みたいなこと言うなよ　　こんな丘の上だけで　ネコが暮らせるわけもなく　夕闇迫れば　下界へ降りるのが　お決まりのパターンじゃないか　」

日本男児

              
「林内に身を潜めて　辺りを窺うなんて　戦争ごっこの気分だな　」



              
『ごっこやってる場合じゃないだろ　　のんびりでいいから　海岸通りをしっかり見張るんだ　　おじさんが小さい魚を釣ったら　すぐに行っておねだりをする　　カラスが拾ってきた魚を落としたら　カラスより先に拾いに行く　　それが野良猫の仕事だろ　　日本男児が泣くよ　』

維新150年

      
「西洋の女はでかいねえ　圧倒されるよ　　それにあのシッポ　あんなの見たこと無いな　」



      
『世界は広いんだ　驚いてる場合じゃないだろ　　維新から１５０年経って　それかい　』

幸せ天気

  
「日差し明るく　風はさわやか　　足取り軽く　パトロールと行きますか
　年に何日もあるわけじゃないけど　幸せだね　」

海風微調整

  
ネコさんネコさん　どうして　テッペンまで行かないの？
「今度は　オバサンか　」
オネエサン　！
「そんじゃまあ　それにしとこお　
　テッペンまで行くと　全身に海風が当たる 　　ここだと　座ると肩から上に当たって　伏せると当たらない　　同じ姿勢でも　斜面の前進後退で　微調整が出来るんだ　　生活の知恵ってやつだ　ネコのな　」

葬式ルック

  
「なんだ　おまえか　　写真写すだけだろ　　まあ　ゆっくりして行きな　」



  
「季節も時代も　変わるもんだね
　通勤時間の明るさが　もう朝っぽくなくなったから　　眠たそうでも顔が明るいね　　遅れそうになって　小走りできた奴でも　足が弾んでるよ
　新入社員は　紺の背広が相場だったが　　近頃じゃ　葬式ルックが　定着してんだね　」

まずはこちらへ

     
ネコさん　どこへ行くのですか
「うーんと　　この角度でガードレールをくぐったから　左の方から仕事始めだ　」

いい仕事

     
「あいつやることが細かいねー　いい仕事する気なんだ　　俺にゃあ　まねできないね　」

取り合い

  
「オジサン　そいつは悪い奴なんだよ　　俺の休み場所を横取りするんだ　」
『ちぇっ　カメラオヤジか　　やっぱり　懇意な奴の肩を持つだろうな　　ここはひとまず　逃げるとするか　』
ネコは相見互えと言うじゃないか　 横取りはいかんぞ

当分長生き

  
「ここまで上がってきたのか　カメラ提げて　　しかも　俺の木の葉隠れを見破れたのだから　　当分長生きは止まらないぞ　」
おまえ　ほんとに　俺を馬鹿にしてるんだな　年寄り扱いして
「そんな言い方無いだろ　ほめてんだから　」

ネコになれる

            
「カメラのおじさんか　　こんな所にいるのを　よく見つけるねえ　　失業したら 　ネコになれるぞ　」

席とり合戦

         
ネコさん　どうして　そんなに　にらむのか
「ベンチで　日向ぼこしようと思ってるのに　　先に座る気だろ　」
邪魔なんかしないよ　　そのベンチ　私が座ると　壊れそうじゃないか
にらむなって

台風接近

  
「雨が止んで　窮屈な秘密基地から出てくると　開放感あるけど　　どこもかも濡れてるんじゃ　身の置き場に困るぜ　」
　開放感に酔ってないで　しっかり食うもの食わないと　次の雨が来てるぞ
「おいおい　　ヒトの善いネコちゃんを　からかうんじゃないだろうな　」
　ヒトの善いネコちゃんなんて知らないが　台風が近づいてるのは本当だ
「ヒトの悪そうなオッサンだが　　この際　信じるべきなんだろうな　」