人の居ない村で

   
「わわっ！　ヒ　ヒト　」



   
雨戸はいつもしまっています　　ほんのわずかですが小粒の雨が降っていて　テーブルの上もネコさんの毛も濡れています
人が住まなくなった集落で　第２世代以降のネコ達はほぼ完全に野生化していて　昼間はめったに姿を見せません　　　それでも　暗くなってから訪れると　逃げ隠れする小さい影は少なくありません

奈良は無理でも

   
日本らしい木造のお家のとなりに　モダンなお家が並ぶ奈良の町　　そこへ　奈良時代にも居たかも・・・　などと思わせる黒いネコ



    
「奈良時代は知らんが　明治なら知ってる　」
ネコさん　いくらお年でもそりゃあ無理でしょう
「うそやない　牛乳飲んだ　」

ネギ畑にトラ

   
ねぎ畑のむこう　苅り払われて枯れた草地をトラが行きます　　草の間に動く獲物はいないか　　耳と目の神経は前方にロックされています

道端の虫さん

   
秋晴れの好き日　　冬越し前の充電に日向へ出てくる虫さんたち　　ネコはそれを求めて道端を行きます



                     
「つかまえた！　」



                    
ムシャムシャ



     
「おっ　見てたのか　」

タヌキの迫力

   
「タヌキの迫力に押されっぱなしや　」



   
『俺ならこう並んでも引けは取らんやろ　』
「それでも　大中小の小やで　」

貧しい時代

   
首輪は着けていますが　姿もしぐさも野良さんです　　　高級車は買えても　猫は飼えない　　貧しい時代です

ここにいます

   
「オッチャンは居なくなったけど　私は当分ここにいます　　また好いことあるかも知れんし　食えなくなるまではここにいます　」

無いよりまし

          
「なんじゃ　おまえか　」
また　おまえか
「また　写真やろ　」
写真一枚　写すで　　　無いよりましや
「ましな写真写せんか　　自分の陰に気付けよ　」

燃料探し

          
「パトロールも散歩もしたいけど　まずは燃料のもとを見つけないと　終わってしまいます　」

タヌキさん

   
ネコさん達　　カリカリだけじゃなくて給水器まで置いてもらって　いいね　　　タヌキさんとも仲良くしてる？
「“タヌキさん”って　この腹のでかいネコのこと？　」
『ネコじゃなくって　タヌキって言うんだ　』
「タヌキか　　ネコにしちゃ態度デカいと思ってた　」

あんたが新顔

   
これはまた新顔ネコさんの登場です
「オッサン　見慣れぬ顔やなあ　」
見慣れないのはあんたの方でしょうが

よ～いドン！

                   
「高くてもネットですから　登るのは簡単なんですよ　　　でも　なにかきっかけが欲しいですね　　　子どもの頃なら　こうしてると　だれかが“よ～い　ドン！”なんて言ってくれたものですけどね　」

本当の秋

   
「この台は何かって？　そりゃあ私の昼寝ベッドに決まってるでしょ　」



     
「ほんとはそうじゃなくて　植木鉢を置く台なの　　　この家のおじいさまがいらっした頃は　秋になればそれはもう立派な菊の花が陳んだものよ　・・・　　　　私にとっては　あれがほんとの秋だわ　」

手先は器用

   
「手先は器用なんですよ　　こうして虫さんを捕まえて　　さあ食べましょうか走らせましょうか　」

ここまでしながら

   
「ネットをたたんだまでは感心だが　それならもう少し隅におきなよ　」

しつこいな

          
「突然に　　オッサン何者や　」



          
「悪い奴には見えないけど　　そうどこまでも着いてくるなって　」