ウシかイタチ

      
「荒野と言えば　　“荒野を行くのはウシかイタチ”　言うのがあったね　　赤塚文学の神髄やな　」
しょうもないこと　よう知っとるな　　誰が教えたんや　

      
“その日は　朝から　夜だった”　　言うのもあったぞ　
「“あいつに相手になるな　しょうもないこと覚えるから”　ておかんが言うとった　　親の気持ちが分かるな　」

ニャンマン

  
「荒野と言う程やないが　　“荒れた尾根道に　太陽が西に傾くころ　さすらいの一匹ネコが　帰ってきた”　」
何を気取っとるんじゃ
「夕日のニャンマン　やね　」
かっこええと　思っとるんやろ　

寂しい時代

  
下水の出口を覗いてますね　3昔か4昔前なら　下水のパイプは　必ずと言ってよいほど　ドブネズミが通路に使っていて　　寒い夜でも　壁寄りにしゃがんで　真剣にドブさんが出てくるのを待つ　ネコさんの姿があったものです

  
「ドブさんも　クマさんも　ハツカさんも　　みんな居なくなって　　下水には　調理の際に出るゴミさえも流れてこない　　寂しくなって　住みにくい時代になったものです　」

不法投棄

      
「めずらしく　空き地　なんてものがあると　不法投棄の山　　それでも　時間とともに色あせて　草に囲まれて　景観としては　それなりになじんでくる　　一番高いところに座って　空き地を見下ろすと　ずっとずっと昔から　この風景だったような気がするから　不思議だねえ　」

ここが落ち着く

             
「捕まって　ひどい目にあって　最後は耳までちょん切られて　　世界観も人生観も　すっかり変わってしまった気がしたけど　　もどってくると　やっぱりここが落ち着く　　雨が降ると嫌だなと思う気持ちも　昔と同じだし　」

私の分

      
「ちょっとちょっと　　私の分もおくれよ　一つこちらに投げてよ　いるのは初めから分かってるんだから　」

鬼ばあさん

      
おいしいカリカリまでもらってるんだから　そんな鬼婆みたいな顔でにらみなさんな　　それより　車のうしろは危ないですよ　　特に坂道では　

耳にパンチ

      
ネコさん　食器で食事ですか　　それより　耳にパンチが入りましたね　　一時は嫌な思いをしたでしょうが　自分が食えないのに子供を育てる　大変な重荷から解放されたんですよ　　そりゃあ喜べない部分があるのもよく分ります　それでも　何事も自分が生きていればこそなんですから　
「ふむ　・・・　」

引っ付きむし

  
「冬だと言うのに　空き地には　とげや粘液で　嫌な種をくっつける草が茂ったまま　　言ってるまに　日陰になってしまったが　日向へは行きづらい　　ネコが草ごときに制約されるなんて　しゃくだねえ　」

屋根のカーブ

      
「近頃の車は　屋根のカーブが　微妙に変化するのが多い　　高級感と言うか　高速感みたいなのがあるけど　どこに寝ても落ち着かない　」

      
「前を向いても　後ろを向いても　屋根の上からの視野が広い　　それは良いことなのだろうが　なんとなく落ち着かぬのも事実や　　まだ改良の余地ありやね　」

充電ポイント

      
良い場所に陣取りましたね　　囲まれてる様で　どちらにも逃げられる　　日当たりは良好　
「ネコの充電ポイントやね　」

コロナか経済か

     
「子供のいない　幼稚園に小学校は　悪ガキが居なくて　静かでいいけど　　ヒトが居ないと　俺たち野良ネコの実入りも少なくなる　　コロナ対策か経済か　　ほんとに難しい問題やね　」

西部劇

              
「うしろに回るなよ　　後ろから撃つ奴は　悪い奴に決まってるんだ　　主役は　正面から正々堂々と勝負して　勝つんだ　」
そんな話　どこで仕入れたんや　　今の人は西部劇なんて知らんぞ　

領域侵犯

      
「何が　夜も昼もあまり変わらんやねん　　夜も昼も領域侵犯やないか　　横着ネコめが　」

夜のネコ道

      
「立ち入り禁止も何のその　　夜のネコ道も　茂みをあまり使わないだけで　昼のネコ道とあまり変わらないのです　」

サバトラ

      
  
「私が　この公園を代表する　サバトラです　」
“代表する”と来たか　　普通のトラネコやないか　　まあよく整って　毛並みもええけどな　　宿ありさんかな