貧乏おやじ

  
「なにも　そんなに怖がることは　ないんやで　
　あのおっさんはな　身なりは汚いけど　害にはならんのや　
　何もくれんけどな　」

空き家

  
「ここは無人の家　　“いいとこ見つけたね”って　言われるけど　　無人の家は　気楽でもあり　寂しくもあり　　気配と言うか　体温みたいなものが　無いんだよ　」

物思い

      
「物思いにふけるのが　コンクリートの　橋の下　なんて　　どこまで行っても　さえない　世の中だね　」

ネコ返し

  
「この塀は　何やねん　　横の棒が上と下の端にしかのうて　金属で出来てると来てるから　ネコの爪が利かんやないか　」
　登れんと　分かったら　　諦めたら　どうなんですか　

民主主義

           
　錆ネコさん　おひさやね　　お会いせぬ間に　耳パッチンが入りましたね　　これで　食べる物もないのに　子供を育てる　野良メスの辛い人生から　解放されましたね　
「そうに違いは無いのだけれど　気持ちは複雑よね　　例えばよ　“恋の無い人生に　意味なんてあるのか” ってことにもなるじゃん　」
　確かに　ヒトの価値観の押し付けかも知れないけど　　悲しいことは　少なくあってほしい　と思うじゃないですか　　今んとこ　それよりましなものを思いつかない　　民主主義みたいなものですよ　
「民主主義ね・・・・・」

保護色

           
「粗大ごみのガラクタの中で　保護色になるなんて　置き猫される前には　考えもしなかったな
　そりゃ　野良猫より　傘の方が　まだ少しは役に立つのだろうね　　現に私が　ほんの少しだけ　助かってるものね　」

ネコは寝る

  
「おまえら　よう寝るなあ　　寝てばっかりやないか　」
　そうおっしゃるあなた様は　先ほどまで　一番よくお眠りでしたよ　
「うろうろせんと　おっさんも　どっかで寝てこいよ　」

完成間近

            
「一見　“建設途中　完成間近” の感じに　収めてくれましたね　　ほんとにそうなら　アフターコロナで　いけいけムードになれるのですが　」

カラスの仔

           
「どうやら　カラスの巣で　雛が孵ったらしい　」


           
「一丁　ネコの恐ろしさを　教えてやりましょう　　お腹もすいたことだし　」
いけません　ネコさん　絶対だめです　　カラスは　恐ろしく強いですぞ　　命を落としますぞ　

認知症？

  
「門扉が閉まったままなんや　　おばあちゃんの　気配もあれば　臭いもある　　そやのに　呼んでも反応が無いんや　
　もう歳やからなあ　認知症かも知れんな　　ネコにはどうしようもないし・・・・　つらいな　」

モジャモジャ毛

        
「昔は売れた　とか　モジャモジャ毛がきたない　とか　言いたいのでしょ　
　少しだけでも　これで　ほかのネコより　温かいのやから　　冬は　これが　ええんよ　」

おっちゃん

      
「オッサン　何かくれ　」
　だれがオッサンやねん　おっちゃんて言えんか　
「カラスは　オッサン言うとるやないか　」
『オッサンに決まってるけど　お兄さん　くらい　言うたったらええねん　』
「うまいもん　くれたら　言うたるわ　」

昭和の記憶

           
　今日は暖かくて　楽ですね　
「陸軍記念日は　雪が降ると言うのに　　こんなに温かいと　何か異変が起こりそうな　　心配してしまうのも　歳のせいかな　」

溝の傍

  
　ネコさん　　もう一段　高いとこに上がらないで　どうして　溝の傍に　しゃがんでいるのですか　
「つまらないこと訊くねえ　安物のマスコミみたいだねえ　
　考えるのも面倒だけど　ボケ防止に　ちょいと考えて　答えましょうか　　今日は無いけど　少し雨が降れば　溝に水が流れて　ここが川端だ　　畑の方を見れば　いじけてはいるが　草たちが　寒さをこらえて　春を待っている　　それを見ながら　わたってくる　わずかな風を楽しむ　　なんて　良いと思わないかい　　分かるかなあ？　」

耳パッチン

  
　ネコさん　　お見受けしたところ　野良さんのようですが　耳パッチン無しですね　　生粋の野良さん　てところですか　
　「耳パッチンなんか　されて　たまるかよ　」

世界大戦

「第三次世界大戦が起こるかも知れん　なんて　　嫌な話を　聞くなあ　」
『そんなもん　もう始まってるのと　ちゃうのん　
　あの時が　始まりやった　　なんて　後で　気が付くもんやで　』
「また　嫌なこと言うなあ　
　お腹すいてるけど　おしっこして　寝るわ　」