東日本大震災

  
「東日本大震災から　６年やそうやな　　ネコも沢山死んだやろ　　どこに住んでも　生きづらい世の中や　向こうは大変なんやろうな　」

庭は静かな方が

  
「ジャンプ力で　小鳥どもが射程に入る高さの　碑の上に上がってみたが　　その時には　奴らの姿は無く　辺りは静かになってしまった　　静かな庭はいいもんだ　クソッ　」

小鳥の奴らめ

              
「頭の上を　ネコを全く無視して　飛び交う小鳥ども　　悔しいが　ジャンプしても　届く高さではない　」

落ち葉布団

  
「猫巾の縁も良いが　落ち葉布団の上は　自由に寝られる　　わしは　こっちの方が　いいな　」

本堂の縁で

  
「本堂には　猫に合わせた巾の　縁がついているから　　いつもここで眠ります　」



  
「四本脚を　う～と伸ばして　その場で伸びをして　　向きを変えて寝るんやと　思うでしょ　　ところが　またもとの姿勢で寝るのです　　あれが一番好きやから　」

球技禁止

  
「公園で　球技は　禁止や　　ネコに当たったら　どうするねん　」

寒い日の給食

  
「特別寒いから　あきらめてたのに　来てくれたんや　　これで寒さを乗り切れる気がする　　兄さんは偉い人や　」

焼却炉も斑

  
「焼却炉のそばへ　温まりに来ています　　こんな季節が また来るんですね　　凄い熱さなんでしょうね　焼却炉の壁が　一部はがれています　　その形がどこか私の斑紋に似ていて　親しみを覚えます　」

月日 慣れ

  
「この住宅地が拓かれて　もう22年だそうです　　私が来て10年ですもんね　　まだあの頃は　世の中少しは元気が残ってましたよ　　　そして　あなたが現われて３年ですか　３年半ですか　　　早いですねえ　　それに　あなたのことを　変な人だと思わなくなったから　」

お庭のカリカリ

  
「庭に撒いたカリカリか　　　ネコには有難い事やが　近頃の人間は　お庭の意味が　分かってないのと違うかな　」

雑多だった街は

              
「大衆食堂の見本は　ほこりをかぶり　　　ジュースの自販機は　新しい方にばかり客が行き　　　公衆電話は　何をする機械なのか興味を持たれることすらない　　　雑多だった街は　マンションとスーパーに分離され　　　おれたちの住む隙間は　どんどん消えて行く　」

法面緑化

  
「法面緑化に使われている　外国産のこの草は　　ヒトやイヌが足を滑らせるように出来てて　なかなかいいもんだ　　役人のする仕事にしては　上出来の方かな　」

山寺の猫

  
「おれ　この寺のネコ　のつもり　」



  
「暑くなって来たので　風通しの良い場所に　移動　　　天気はいいのに　ハイカーはやってこない　　しけた日やな　」

車無しでは

  
ネコさん　いい車ですねえ
「空気良し　景色良し　ネコは庭で狩ができる　　けど　車がないと生きて行けない所やねん　」

逢魔が時

  
「日が大きく傾いて　昼でもない夜でもない　昼と夜の間がやってくる　　　この時間帯は　動物の心に焦りが生じて　心に隙ができまする　　　私はこの時間が来るのを待っておりました　それでは　　そろそろ仕事にかからせていただきます　」

  
「あなたもご一緒に・・・　と言う訳には行きませんね　　汚くても人様のおうちですから　」

毒にも薬にも

        
「かあさん　うしろにだれか来てるよ　　なあ　」
『えっ　　あ　あれかいな　　あんなオッサンどうでもええがな　　どうせ　毒にも薬にもならへんし　』