ツバキが過ぎて

      
「ツバキの花が　みんな　落ちてしまった　　そんな季節になっても　濡れた苔が　足の裏に冷たい　　なんてこと考えるより　生きることが目的のすべての　真野良の方が　幸せなんじゃないかな　」

スリスリ

  
「スリスリしているのは　発情期の余韻があるからじゃなくて　　なでなで・スリスリの喜びが忘れられないのだ　　いやだね　」

昔の名前

      
「俺のことを　“おっちゃん”　なんて呼ぶ奴らがいる　　オバハンのくせに　　俺には〇〇って　名前があるんだ　　悔しいけど　〇〇って呼ばれてた時代が　忘れられない　　だからほかの呼び方をされても無視することにしている　　美味しい物があるときは　一呼吸おいて　行くけどね　」

リーダーは置猫

      
「経験と体の大きさから　一応　この辺りのリーダー　やってるけど　　実は俺　置き猫されてここに居るんだ　　今年でもう八歳　　リーダーとしての　体力の限界を　感じ始めてる　」

      
「俺を捨てた　にっくい奴らだけど　　あの時代が忘れられない　　雨の日には傘をさして　あの石畳の角を曲がって　俺を迎えに来てくれる　　なんて物語を　何度も思い描いてしまう　これも年なのかね　」

文殊堂

  
「ここは　文殊菩薩様をお祭りした　文殊堂　
　ネコに沢山良いことありますように　　柱に頸をスリスリ　お尻もスリスリ　」

野良耳パッチン

      
「右の耳先が　隠れるように写してくれて　ありがと　」

      
「実態は　これだもんね　
　背景のゴミが　似合うなんて　嫌だね　」

温かい季節

  
「暖かくなって　落ち葉の下　倒木の下から　冬を生き伸びた小動物たちが這い出して来る　　“むし” なんて言葉で一くくりにされてる者たちだ　　食べ応えは無いけど　俺たち野良猫をはじめとする　獣たちは　　生きながらえるのに　大いに助かっている　　ヘビなんてのは食べ応えがあって有難いけど　マムシもいるから　恐ろしい　」

  
「いろいろあっても　夏は俺たちの季節だ　　いざ行かん　」

コロナ休業

  
「ネコは入場無料　見つからなければね　　
　それが　ほんとに自由になったと思ったら　コロナ休業　
　近々厳しい時代が明ける　なんて噂があって　　信用してないけど　つい期待してしまうね　」

勝手に止まる車

  
「忍び寄る　車　　怖いなあ　
　人を見ると　勝手に止まる車　　良く出来てるなあ　
　ところが　ヒトは関知しても　ネコは往々にして関知しない　
　開発する頭の良い人たちも　何が大切なのか　今一つ分かってないんやな　」

認知症？

  
「門扉が閉まったままなんや　　おばあちゃんの　気配もあれば　臭いもある　　そやのに　呼んでも反応が無いんや　
　もう歳やからなあ　認知症かも知れんな　　ネコにはどうしようもないし・・・・　つらいな　」

モジャモジャ毛

        
「昔は売れた　とか　モジャモジャ毛がきたない　とか　言いたいのでしょ　
　少しだけでも　これで　ほかのネコより　温かいのやから　　冬は　これが　ええんよ　」

おっちゃん

      
「オッサン　何かくれ　」
　だれがオッサンやねん　おっちゃんて言えんか　
「カラスは　オッサン言うとるやないか　」
『オッサンに決まってるけど　お兄さん　くらい　言うたったらええねん　』
「うまいもん　くれたら　言うたるわ　」

昭和の記憶

           
　今日は暖かくて　楽ですね　
「陸軍記念日は　雪が降ると言うのに　　こんなに温かいと　何か異変が起こりそうな　　心配してしまうのも　歳のせいかな　」

溝の傍

  
　ネコさん　　もう一段　高いとこに上がらないで　どうして　溝の傍に　しゃがんでいるのですか　
「つまらないこと訊くねえ　安物のマスコミみたいだねえ　
　考えるのも面倒だけど　ボケ防止に　ちょいと考えて　答えましょうか　　今日は無いけど　少し雨が降れば　溝に水が流れて　ここが川端だ　　畑の方を見れば　いじけてはいるが　草たちが　寒さをこらえて　春を待っている　　それを見ながら　わたってくる　わずかな風を楽しむ　　なんて　良いと思わないかい　　分かるかなあ？　」

竹が茂ると

             
　後は竹藪ですね　　かなり　密に茂ってますね　
「竹藪が　密になると　トラも通れぬ　ネコも通れぬ　
　ま　これだけのものだから　今んとこ　通る必要もないけどね　」

耳パッチン

  
　ネコさん　　お見受けしたところ　野良さんのようですが　耳パッチン無しですね　　生粋の野良さん　てところですか　
　「耳パッチンなんか　されて　たまるかよ　」